プレスリリース: 赤色矮星のまわりに地球のような海惑星の存在を予測
近年の系外惑星探査では、地球のような温暖な岩石惑星(いわゆるハビタブル惑星)の発見に関心が集まっています。こうした探査の多くは、惑星の見つけやすさから、太陽系の近傍に多数存在する「赤色矮星」または「M型星」と呼ばれる、太陽よりも低温の星をターゲットとしています。惑星が温暖な気候を維持するためには、適度な日射量だけでなく、適量の海水が必要であることが知られていますが、従来の惑星形成モデルでは、M型星のまわりにそのような条件を満たす惑星が存在する確率は非常に小さいと予測されていました。
今回、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程3年の木村真博氏と国立天文台科学研究部の生駒大洋教授(研究計画A03代表)は、惑星の形成場である原始惑星系円盤のガス成分の獲得によって形成される大気とマグマオーシャンとの反応で生成される水に着目し、新しい惑星形成モデルを独自に開発し、あらためて系外惑星のもつ海水量を理論的に予測しました。その結果、M型星のまわりにおいて、地球程度の半径と日射量をもつ惑星のうち数%が適度な海水量をもっていると見積もられました。これは、今後十年以内の探査による、温暖な気候をもつ惑星の発見が十分期待されることを示唆しています。
なお、本研究成果は「Nature Astronomy」に日本時間9月30日付けで掲載されました。
詳しくは、国立天文台科学研究部のプレスリリースをご覧ください。
◯イメージ図のキャプションとクレジット
形成期の岩石惑星において、原始大気とマグマオーシャンとの反応で水(水蒸気)が生成される状態のイメージ図(木村真博)